
企業が社員育成に取り組む際、さまざまな課題に直面することがあります。
経営者の方の中には、次のような悩みや疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
- 社員育成が順調に進んでいるように思えない
- 有効な社員育成の改善策を知りたい
- 他社は社員育成の課題をどう解決しているのだろう?
本記事では、社員育成で企業が抱えやすい課題と、その解決策についてまとめています。
現在、社員育成に課題を感じている方、社員育成を改善したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
社員育成で企業が抱えやすい4つの課題

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によれば、企業が社員育成で直面した課題として次の4項目が上位を占めています。
・上長等の育成能力や指導意識が不足している
・人材育成が計画的・体系的に行われていない
・人材育成を受ける社員側の意欲が低い
(独立行政法人労働政策研究・研修機構「人材マネジメントのあり方に関する調査 平成26年」より)
それぞれ具体的にどのような課題であるのか、詳しく見ていきましょう。
業務が忙しく育成の時間が確保できない
社員育成を担当する従業員には、管理職など一定以上の経験・スキルを持つ人材を任命する必要があります。
しかし、能力が高い人材には業務が集中しやすい傾向があるため、育成のための時間を確保しづらいのが難点です。
職場によっては、そもそも日頃から業務量が多く、さらに研修などの時間を取るのが困難な場合もあるでしょう。
先に触れた調査では、若年層の49.3%、中堅層の64.0%が時間的余裕がないことを社員育成の課題として挙げています。
社員育成の担い手となるべき中堅層ほど忙しいことは、社員育成の重要な課題となり得るのです。
育成能力・指導意識の不足
社員育成を行うにあたり、育成する社員自身の能力が問われます。
育成担当者の能力・スキルのレベルが十分に高くなければ、必要とされる水準を満たす指導をすることはできないからです。
また、社員育成にあたる指導者としての意識も求められます。
部下や後輩から信頼され、ロールモデルとなるような人材でなければなりません。
育成される側の社員にとって模範となる社員を抜擢する必要があることから、適任者が見つからないこともあり得るでしょう。
社員育成の担い手が不足しがちであることは、大きな課題の1つといえます。
体系的・計画的な社員育成が困難
社員育成は研修の機会を一度設ければ完了するものではなく、継続的に実施していく必要があります。
年単位で持続的に育成していくには、計画的に社員育成を進めなくてはなりません。
また、社員育成が体系的に行われているかどうかも重要なポイントです。
必要な研修を場当たり的に行うのではなく、中長期的な視点から社員を育成していく必要があります。
しかし、体系的・計画的に社員育成を進めるには、十分な準備が欠かせません。
体系化された社員育成計画を策定していくことは、企業にとってハードルとなり得るでしょう。
育成される側の社員の意欲
社員育成の課題は、育成する企業側だけにあるとは限りません。
育成される側の社員が「成長したい」「スキルアップしたい」といった意欲を持たなければ、社員育成の効果は見込めないのです。
研修会などの機会を設けたものの、参加する社員が消極的だったという経験をした経営者の方は少なくないでしょう。
せっかく経費と時間を使って社員育成に取り組むのですから、社員が意欲的に取り組む状況を作っておきたいものです。
育成される側の社員が意欲的でないという点は、社員育成の課題の1つとなる可能性があります。
課題に対する有効な解決策

前章で挙げた4つの課題に対して、どのような解決策を講じていけばいいのでしょうか。
それぞれの課題の有効な解決策について解説します。
業務内容の見直しや効率化をセットで行う
業務が忙しく時間が確保しにくいことは、社員育成が進まない理由としてやむを得ない事情のようにも思えます。
しかし、社員育成のための時間が確保できなければ、将来的に会社を担っていく人材を育てることができません。
長い目で見たとき、人材が十分に育たないことで被るデメリットのほうがより深刻と捉えるべきでしょう。
また、社員育成の時間が取れないようであれば、現場が業務過多に陥っている恐れもあります。
社員育成の計画を立てることを機に、業務内容の見直しや効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
業務改善をセットで行うことで、社員の意識を高めることにもつながるはずです。
事前に管理職研修を実施する
社員育成を担う管理職などの人材が不足しているようなら、あらかじめ管理職研修を実施しておくことをおすすめします。
後輩や部下を育成するといっても、具体的にどう関わればいいのか分からない人は案外多いものです。
社外のリーダー研修を受講してもらったり、社員育成に対する共通理解を図る勉強会を開催したりするのも1つの方法でしょう。
管理職研修を実施することにより、効果的な指導方法を学べるだけでなく、指導者としての意識が向上する効果も期待できます。
社員育成の能力に長けた人材が現れるのを待つのではなく、指導者を育てるという発想に切り替えていくことが大切です。
スキルマップの作成と運用
体系的・計画的に社員育成が課題と感じるのであれば、スキルマップを作成・運用しておきましょう。
スキルマップとは、業務で必要とされるスキルを一覧化した表のことで、力量管理表とも呼ばれます。
スキルマップを作成する際の手順は、主に次の2つです。
2.職務遂行のための基準の策定
部署ごとに必要とされるスキルを洗い出し、大分類(能力ユニット)と小分類(能力項目)に階層化していきます。
このとき、部署特有の能力なのか、社員が共通して身につけてほしい能力なのかを区別することが大切です。
項目が出そろったら、職務遂行に必要な能力の基準を具体的に定めていきます。
下図は、飲食店のキッチンスタッフに必要な能力を示したスキルマップです。

自己評価と上司評価のギャップを修正していくことで、体系的・計画的な社員育成がしやすくなるでしょう。
社員が必要と感じているスキルのヒアリング
育成される側の社員の意欲が不足していると感じる場合は注意が必要です。
実施しようとしている社員育成の計画と社員が現場で必要としているスキルの間に、ずれが生じている可能性があるからです。
社員は「今こんなことを学んでいる場合ではない」「実務で役に立たない研修が義務づけられた」と感じているのかもしれません。
場合によっては、社員が必要性を感じているスキルをヒアリングし、ニーズを調査することも重要です。
社員が必要性を感じる育成計画になっていれば、社員は自発的に取り組み、十分な効果をもたらすはずです。
研修計画を一度作成したからといって、計画通りに進めることが目的化しないように気をつけましょう。
まとめ
社員育成の課題と解決策について解説してきました。
社員育成ははじめからスムーズに進むとは限りません。
むしろ、課題を発見するたびに改善を加え、ブラッシュアップしていくことが大切です。
現状、社員育成に課題を感じているのであれば、社員育成のあり方を見直す絶好の機会かもしれません。
本記事を参考に、ぜひ社員研修の課題解決に向けた方策を検討してみてください。
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