社員育成の効果をどう測定する?効果測定の考え方と測定方法

最終更新日: 2021/12/02 公開日: 2021/12/03

社員育成に取り組む以上、投じた時間・労力・コストに見合った効果を得たいと考えるのは自然なことです。

しかし、次のような悩みや疑問を抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか。

  • 社員育成の効果をどう測定すればいいのだろう?
  • 何をもって「効果が表れた」といえるのか?
  • 効果測定がしにくい場合はどうすればいい?

そこで、社員育成の効果を測定する際の考え方や評価方法について解説します。

現在、社員育成に取り組んでいる企業はもちろんのこと、プランを検討中の経営者の方もぜひ参考にしてください。

社員育成の効果測定で重要な「2つの視点」

社員育成の効果測定について考えるとき、大きく分けて2つの視点から捉えることが大切です。

・会社側の視点(経営視点)
・社員側の視点(学習者視点)

それぞれの視点について、詳しく見ていきましょう。

会社側の視点(経営視点)

社員育成に対する会社側の視点とは、「いかに業績や利益に寄与したか」を評価する方法です。

コストを投じて社員を育成しても、コストに見合った成果が出なければ損失になりかねません。

経営視点に立ち、社員育成が業績にどれだけ寄与したのかを評価する視点を持つ必要があります。

社員側の視点(学習者視点)

もう1つの評価方法として、育成される側の視点が挙げられます。

育成計画に則って座学やOJTを受けた結果、社員自身が効果を感じているかどうかを評価するのです。

学習者である個々の社員が育成の成果を実感していることは、非常に重要な視点といえます。

なぜなら、社員育成の成果を実感することが個々の社員のモチベーション向上に寄与するからです。

社員一人ひとりが「有意義な研修だった」「OJTを受けて良かった」と実感しているかどうかがポイントとなります。

カークパトリックの4段階評価

社員育成の効果を会社側・社員側の双方からバランス良く評価するには、どうすればいいのでしょうか。

一般的によく知られている方法の1つに「カークパトリックの4段階評価」があります。

アメリカの経営学者カークパトリック氏が提唱した評価モデルについて理解を深めましょう。

レベル1:反応

研修などを受けた社員の反応を評価する段階です。

よく行われている事例として、研修後のアンケートやヒアリングが挙げられます。

社員の記憶が新しいうちに測定する必要があるため、研修などを実施した直後に行うのが一般的です。

仮に社員が「充実した研修だった」「有意義だった」と回答していても、それだけでは十分とはいえません。

社員育成の成果がその後どのように表れるのか、次の段階以降で継続的に測定していくことが大切です。

レベル2:学習

研修などを受けた結果、社員がどの程度の知識を得たのか、スキルを習得したのかを測定する段階です。

研修内容の定着度を確認するペーパーテストやeラーニングによる評価テストを行うケースが多く見られます。

実施直後は満足していた社員が、実際に研修内容を身につけられたかどうかが分かります

ただし、「理解できた」ことと「できるようになった」こととの間には大きな差があるといわざるを得ません。

「分かった」だけで満足しないためにも、レベル3以降で客観的な効果を測定していく必要があります。

レベル3:行動

研修によって、社員の行動が具体的にどう変化したかを評価します。

行動の変化に対する評価には、いくつかの方法が考えられます。

評価方法 観点の例
職場観察 職場全体に良い効果がもたらされたか
言動チェック 期待する発言・行動を社員が実行するようになったか
インタビュー 社員本人や上長などが効果を実感しているか
360度調査 同僚などの関係者が効果を実感しているか

実務において社員の行動に良い変化が見られたとすれば、社員育成は一定の効果があったといえます。

育成される側の社員だけでなく、他者評価においても効果が表れているかどうかが重要なポイントです。

レベル4:成果

社員育成に取り組んだ結果、社員の知識・スキルが向上し、業績向上などの成果に結びついたかどうかを評価します。

研修などの内容が有効に作用し、定量的な成果となって表れた場合に評価の対象となるのがポイントです。

もしレベル3までの段階で効果が表れていたにも関わらず、レベル4で結果が出ない場合は注意が必要です。

社員育成の計画や内容を継続するべきかどうか、再考する必要があります。

逆にレベル4で顕著な結果が出ていれば、有効な社員育成プログラムとして今後も活用できるでしょう。

ROI・離職率による評価

社員育成の効果を主に会社側の視点に立って評価する方法として、次の2つが挙げられます。

・ROIによる社員育成の効果測定
・離職率による社員育成の効果測定

それぞれ、具体的な進め方について確認しておきましょう。

ROIによる社員育成の効果測定

ROIとは「投下した資本に対して得られた利益の割合」のことです。

次の計算式によって算出します。

ROI(%)=利益 / 投下資本 × 100

社員育成においては、研修費OJTに要した労務時間などが投下資本に相当します

一方、利益に関してはあらかじめ社員育成の目標を設定しておく必要があるでしょう。

よく用いられる手法として、個々の社員による目標設定が挙げられます。

社員育成を通じて得た知識・スキルによって目標を着実に達成できたのであれば、成果につながったと見なすことができます。

利益をどう定義するかは、社員育成の目的や目標設定ともリンクする重要な要素です。

離職率による社員育成の効果測定

社員育成を通じて知識・スキルの向上を実感した社員は、組織に貢献しているという実感を持つはずです。

その結果、組織への帰属意識や仕事に対するモチベーションを高めていくことでしょう。

社員育成の効果は、社員の離職防止という観点でも重要な意味を持っているのです。

社員育成に取り組んだことで離職率を有意に抑えられたのであれば、効果があったと考えることができます。

効果測定がしづらい社員育成に見られる問題点

社員育成の効果測定を行う際、しばしば問題となるのが「客観的な効果が判断しにくい」という点です。

しかし、効果測定がしづらいのであれば、そもそも社員育成の計画自体に問題があるかもしれません

次の3つのポイントを参考に、効果測定がしづらくなっている原因を突き止めておきましょう。

社員育成の目的・ゴールが設定されていない

社員育成の効果測定を行うには、目的ゴールを明確化しておく必要があります。

「他社も取り組んでいるから」といった曖昧な動機で社員育成計画を立てると、目的が希薄化しやすくなります。

社員のスキルアップや知識の増強を図るのであれば、具体的にどの業務に生かすための社員育成なのかを明確にしておきましょう

得られる効果が抽象的

社員育成に取り組んだ結果、得られる効果が抽象的だと効果測定がしにくくなります。

たとえば、ビジネスマナー研修によって「社員のマナーが向上する」というのは抽象的な効果の典型でしょう。

「新入社員が商談に同行できる」「電話対応を任せられる」といったように、具体的な効果を想定しておく必要があります。

社員育成を実施した前後で期待される効果を明確にしておくことが大切です。

効果を評価する方法・評価者が不明確

効果測定を行うには「いつ」「誰が」「どのように」評価するかを決めておく必要があります。

つまり、評価までを含めたパッケージとして社員育成計画を立てておかなくてはなりません。

効果測定は場当たり的に行うのではなく、あらかじめ計画に織り込まれていることが重要です。

まとめ

社員育成の効果を測定する方法について解説してきました。

効果測定は、社員育成の成果を確認するだけでなく、今後採用する人材の育成方法を考える上でも非常に重要です。

ぜひ本記事を参考に、自社で活用できそうな効果測定方法について考えてみてください。

最終更新日: 2021/12/02 公開日: 2021/12/03
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