企業にとって社員育成とは?社員育成の目的と種類を解説

最終更新日: 2021/11/30 公開日: 2021/11/30

企業が事業を継続していく上で重要なカギを握るのが「社員育成」です。

Panasonic創業者の松下幸之助氏は「事業は人なり」と説きました。

安定的に業績を挙げていくためにも、社員育成の必要性を痛感している経営者の方は多いことでしょう。

一方で、次のような疑問を持っている方もいるはずです。

  • 何を目指して社員育成をすればいいのだろう?
  • 人材教育や人材開発とどのように違うのか?
  • 社員育成を進める際に注意すべきことは?

そこで、本記事では社員育成の目的や種類、実施する際の注意点について解説します。

ぜひ社員育成への理解を深める上で役立ててください。

社員育成の目的

はじめに、社員育成の目的を整理しておきましょう。

社員育成とは「社員を育てる」ことですが、ここで言う育成とは「企業に貢献できる人材を育てること」を指します。

しかし、社員育成は単に企業の業績を向上させることだけを目指して取り組むものではありません。

社員育成の目的は、次のように集約することができます。

社員育成の目的
・企業に貢献できる人材を育成する
・育成される側の知識・スキルを高め仕事の質の向上を図る
・育成する側の自己成長を促し、組織全体の底上げにつなげる
・社内で目標を共有し、協力し合う文化・風土を形成する

社員育成は特定の目的に絞って行われるものではなく、社員全員の継続的なスキル向上や企業文化の醸成に深くかかわっているのです。

社員育成と社員教育の違い

社員育成とよく似た言葉に「社員教育」があります。

社員教育とは、研修トレーニングといった特定の知識・スキルを教えることを指します。

一例として、新入社員のための「ビジネスマナー研修」や、管理職を対象とした「管理職研修」などが挙げられます。

一方、社員育成の目的は「個人の能力と企業で求められる能力の統合」です。

企業の経営戦略を実現するために必要な能力を、個々の社員に身につけてもらうことが目的といえます。

そのため、社員育成の一環として社員教育が行われることもあり得ます。

  目的 内容
社員教育 知識・スキルの習得 限定的 マナー研修・管理職研修など
社員育成 個人の能力と企業が求める能力の統合 総合的 OJT・Off-JTなど

つまり、社員育成は社員教育よりも裾野が広く、経験も含めた総合的な能力の向上を指しているのです。

社員育成と人材開発の違い

社員育成とよく似たもう1つの言葉に「人材開発」があります。

人材開発は、Human Resource Developmentの訳語といわれています。

従業員を人的資源と捉え、個々の能力をより有効に活用する意味合いが強いのです。

これに対して、社員育成は個々の社員の自発的な成長を促すニュアンスが強いといえます。

社員育成は現場レベルで成長を促すべきものであり、トップダウンで一律に実施できる施策ではないのです。

このように、社員育成には成長を「促す」という意味合いがより強く盛り込まれていると考えてよいでしょう。

社員育成の種類

社員育成には、対象者や進め方にいくつかの種類があります。

それぞれの違いを把握しておくことは、社員育成を効果的に進める上で非常に重要です。

社員育成の主な種類について整理しておきましょう。

対象者ごとの社員育成の種類

社員育成は対象者のスキル・経験に応じて行う必要があります。

新卒で入社した社員と中堅採用者、中堅社員、管理職では、それぞれ育成の目標が異なるからです。

対象者主な目標
新入社員社会人としての基礎を身につける
中途採用者企業文化や経営理念、ローカルルールへの理解を深める
中堅社員専門性を高め、若手に指示を出せるようにする
管理職マネジメントや部下の評価を適切に行えるようにする

たとえば、20代の新卒採用者と40代の中途採用者が同じ方針・目標で育成されるのは好ましくありません。

同様に、中堅社員と管理職の到達目標は明確に異なっているのが自然な姿といえます。

手法ごとの社員育成の種類

社員育成の主な手法として、OJT・Off-JT・SDが挙げられます。

それぞれの進め方や得られる効果は、次のようにまとめることができます。

手法進め方得られる効果
OJT(On the Job Training)実務を通して実地で業務内容を学ぶ実務に必要なナレッジ・スキルの習得
Off-JT(Off the Job Training)社外で研修やセミナーを受講する職層に応じた汎用的なナレッジ・スキルの習得
SD(Self Development)通信教育や資格取得などの自己啓発新たなスキル習得・モチベーションの向上

OJTを通じて実務能力を習得しつつ、Off-JTやSDを組み合わせることで社員育成の効果を高めるのが一般的です。

社員育成で注意しておきたいポイント

社員育成を進める上で注意しておくべきポイントがあります。

とくに陥りやすい失敗例とともに、社員育成の注意点を確認しておきましょう。

自社で必要なスキル・能力が身につく育成方針か

社員育成の目的は、あくまでも自社で必要とされるスキル・能力を身につけることにあります。

自社の事業戦略や目指す方向性と育成方針が合っているか、しっかりと確認しておくことが大切です。

「他社も取り組んでいるから」といった理由で育成方針を定めると、実務で役立てにくい内容に偏る恐れがあります。

Off-JTでPC研修を受講しても、自社の業務で役立つ技能はほんの一部に過ぎないこともあるでしょう。

自社で必要なスキル・能力を軸に、社員育成の方針を立てていくことが重要です。

現場の課題を踏まえた育成方法になっているか

社員育成の対象者や手法は、現場の課題を十分に踏まえて決定する必要があります。

たとえば、「中堅社員は後輩の指導力やリーダーシップを身につけるべきだ」というのは一般論に過ぎません。

実は、より解消すべき課題は中堅社員の実務能力を向上させることかもしれないのです。

同様に、管理職や経営陣に映る組織の課題と、現場で就業している社員が感じる課題は異なる可能性があります。

社員育成の具体的な進め方を決める際には、現場の課題を今いちどよく検討し、整理してておくことが大切です。

達成目標や期限が具体的に設定されているか

社員育成によって達成すべき目標や期限を明確にしておきましょう。

目標は客観的に評価できる内容にすることが大切です。

また、「5年後」など中長期の期限だけでなく、定期的に進捗状況を確認できるスケジュールにしておく必要があります。

これらの条件をクリアするために、スキルマップを作成しておくことをおすすめします。

種別 半年以内 1年以内 3年以内
汎用スキル ・電話対応ができる
・業務日報を作成できる
・スケジュールを管理できる
・業務の優先順位を判断できる
・業務の改善点を提案できる
・新入社員を指導できる
専門スキル 商品の特徴を理解している 上司が同行すれば商談を進められる 単独で商談を進められる
スキルマップの例

スキルマップを作成することで、汎用スキルと専門スキルのレベルに整合性が取れているか確認しやすくなります。

また、スキルを一覧化することで、習得しておくべき能力の抜け漏れを防ぐ効果も期待できるでしょう。

まとめ

社員育成の目的や種類、実施する際の注意点について解説してきました。

計画的・継続的に社員育成を進めていく必要があることへの理解が深まったのではないでしょうか。

本記事を参考に、ぜひ社員育成の方針をじっくりと検討してください。

社員育成をきっかけとして、改めて気づく組織の課題や強化すべき点が浮かび上がってくるはずです。

最終更新日: 2021/11/30 公開日: 2021/11/30
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