PEST分析とは?戦略立案に有効な外的要因の分析方法を解説

最終更新日: 2021/10/28 公開日: 2021/10/28

PEST分析は市場分析をするためのフレームワークです。

マーケティングにおいて、市場分析は必須ですが、PEST分析をしてもうまく分析ができない人分析結果を自社の戦略立案に生かせない人など、分析方法に対して悩みを持つ人が多い印象です。

そこでこの記事ではPEST分析の要素や分析方法を細かく解説していきます。

PEST分析とは?

PEST分析とは、「近代マーケティングの父」と呼ばれている経済学者のフィリップ・コトラー教授が提唱した外的要因(マクロ環境:自分では変えられない環境)の分析方法です。

コトラー教授は自身の著書『コトラーの戦略的マーケティング』には、「調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなものだ」と書かれてあります。

つまり、マーケティング分析をするうえで、市場の動向や、環境などの一企業には変えることのできない外的要因の調査をすることは最重要項目であるということです。

PEST分析では外的要因を4つの要素にわけて、事業やマーケティングの機会もしくは課題を見つけ、長期的な意思決定に生かします。

PEST分析の目的

PEST分析では、多くの外的要因を客観的に要素ごとに振り分けることで、自社にとってどの環境の変化をつかめばよいか、避けるべき外的要因は何かなど、ビジネス戦略に必要な外的要因を洗い出せます。

分析結果から未来の予測を立て、将来のビジネスチャンスをつかみ、また発生するであろう課題を解決し、会社を発展させるためにPEST分析を活用しましょう。

PEST分析の4つの要素

PEST分析は外的要因を以下の4要素に分けて分析します。

  • Politics (政治)
  • Economy (経済)
  • Society (社会)
  • Technology (技術)

それぞれどのような環境や要因になるのかを詳しく見ていきましょう。

P:Politics

P (Politics)は政治的要因です。

国や自治体が決める規制や制度のことで、具体的には「法律、条例」「税金」「公的支援」「裁判結果」「政権交代」「政治団体の動き」などを指します。

例えば、「短時間・期間契約社員及び派遣社員に対する不合理な待遇の禁止などに関する指針」では、派遣労働者は正社員と同一労働・同一賃金となる原則が定められました。

派遣労働者を雇用していた会社はこの指針に沿った会社運営をしなければなりません。

もし無視してしまうと、法律に従っていない会社として企業の大きなイメージダウンになるでしょう。

E:Economy

E (Economy)は経済的要因です。

「物価の上昇もしくは下降」「原油価格」「株価」「景気の動向」「経済成長率 (国民総生産・GNP)」「雇用」などが要因となります。

毎年のように小麦製品などが値上がりしていますが、それも原料の価格の上昇や輸送に関わる燃料の上昇など、経済的な要因が大きいです。

また、海外に進出している企業であれば、円高なのか円安なのかは大きく売り上げに関わってきます。

S:Society

S (Society)は社会的要因です。

「流行・トレンド」「価値観」「世帯人数」「人口密度」「年齢別人口構成」「少子高齢化」「教育」「宗教」「ライフスタイル」「社会問題」などが要因として挙げられます。

例えば、会計のキャッシュレス化が進み、支払い手段が現金だけでなく、クレジットカード、電子マネーなどを利用する人が増えています。

消費者は現金支払いではポイントが貯まらないため、ポイントの貯まるクレジットカードや電子マネーで支払う人が急激に増加しました。

この流れをいち早くつかみ、どのキャッシュレス決済にも対応していると、顧客の取りこぼしが減ります。

T:Technology

T (Technology)は技術的要因です。

「新技術の開発・普及」「特許」「ITインフラ」「イノベーション」「IoT技術」「代替技術の開発」「人工知能の開発」などの要因を指します。

初期の携帯電話は肩からかける大きいものでしたが、だんだん小型化、軽量化していき、現在はスマートフォンが主流になっています。

新しく開発された技術が自社にどのような利益を生むのか、方向転換などを迫られるのかを読みとく必要があります。

PEST分析の方法

PEST分析はただ外的要因をPESTのどれかに振り分ければ良いというものではありません。

PEST分析は経営戦略などを立てるためのツールにすぎません。

分析結果をもとにして、どのように立案するか、動いていくかが重要です。

それでは、PEST分析の方法を詳しく解説していきます。

1. 分析目的を明確にする

まず、分析する目的が何なのかを明確にします。

外的要因は山ほどあるので、目的が不明瞭なままPESTの4つに振り分けると情報が雑多になってしまいます。

  • マーケティング分析をするうえで使う
  • 時代の変化に対応する経営戦略を立てるために使う

など自社の状況に合った目的を設定しましょう。

2. 外的要因を収集しPESTに振り分ける

自社に関係する外的環境要因を収集し、PEST「政治的要因」「経済的要因」「社会的要因」「技術的要因」のどれかに振り分けます。

情報収集ができる場も、収集できる情報も多岐にわたるため、どこから情報を得るのかを整理しつつ収集していきましょう。

PESTに振り分ける際は、その要因が自社にどのような影響を与えるのかを具体的に考えます。

なお、すべての情報がうまくPESTに振り分けられるとは限りません。

複数の要因にまたがる場合もあります。

3. 収集した要因を事実と解釈に分ける

収集した要因は客観的事実なのか、それとも誰かの解釈(意見・考え)なのかを見極めます。

もしその要因が解釈であれば、その要因を分析しても正しい結果を導けません。

例えば「このイチゴの糖度は10度である」は計測して導き出された数字なので客観的事実ですが、「このイチゴは甘い」はその人の感想・解釈となります。

分析をするときは客観的事実のみを使用しましょう。

4. 事実のみを脅威と機会に振り分ける

PESTに振り分けた事実を自社にとっての機会(チャンス)もしくは脅威(課題)に分けます。

課題をどのように解決するのか、チャンスをどのように発展させるのか具体的に考えましょう。

5. 機会と脅威を短期・長期に振り分ける

機会と脅威がすぐに起こるのか、それとも長期的な目で見たときに起こると予測されるものなのかを考えます。

合わせて緊急性、重要度などを鑑みて、どの分析結果を実行していくのかを総合的に判断しましょう。

PEST分析の事例

それでは、PEST分析の事例を見ていきましょう。

今回は以下の3社の事例を紹介します。

  • セブンイレブン
  • ライフネット生命
  • コダック

成功例では企業がどのように環境やトレンドの変化を察知し、活用していたのかがわかります。

セブンイレブン

セブンイレブンは非接触型のレジを採用しています。

店員が商品の金額を表示させた後、客が支払い方法をタッチパネルから選び、自分で支払いを済ませるというレジです。

これは会計時に少しでも店員は客のものを触らなくて良いように、客も店員に触られたくないというニーズ(Society)を実現させたものです。

他にもセブンイレブンは、レジ袋有料化に伴って、エコバッグを販売するなど、政治的外部要因(Politics)にもうまく対応しています。

ライフネット生命

ライフネット生命は同性のパートナーでも保険金の受取ができる保険会社です。

生命保険は原則、戸籍上の配偶者または2親等内の血族が受取人となります。

法的に結婚できない同性カップルは法律上の家族でないため、保険金が支払われませんでした。

しかし、2015年に渋谷区と世田谷区は同性のカップルに結婚証明書を発行すると決定すると、2015年11月5日にライフネット生命は同性のカップルでも保険金を受け取ることができるように規定を変更しました。

これは自治体の制度変更 (Politics)と婚姻の多様化やLGBTの存在など (Society)を察知し、うまく活用できた事例です。

コダック

コダックはPEST分析のSociety (トレンド)とTechnology (イノベーション)を読み間違った失敗例です。

コダックは写真フィルムメーカーで世界トップシェアを誇る企業でした。

デジタルカメラを発明したのもコダックです。

それにもかかわらず、写真フィルム事業の成功にしがみつきデジタルカメラの商業化をせず写真のデジタル化というイノベーションに乗り遅れました。

結果、コダックは2012年に倒産しました。

国内の販路拡大と海外進出にもPEST分析は有効

PEST分析は自社を取り巻く環境の分析、市場の分析をするフレームワークです。

  • 自社商品の販路を拡大したい
  • 新たな商品を作り販売したい
  • 海外に進出したい

このような様々な展望にも効果的です。

マーケティングでは市場調査や分析が最重要となりますので、PEST分析を使い、自社発展のチャンスをつかみましょう。

最終更新日: 2021/10/28 公開日: 2021/10/28
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