LTV(ライフタイムバリュー)を最大限引き上げる秘訣とビジネス構築のヒント

最終更新日: 2022/12/12 公開日: 2021/10/13

企業活動において重要指標の1つとなると言われるLTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)。日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。

マーケティングにおいてLTVという指標を有効活用するためには、背景にある実践的な考え方を把握しておく必要があると考えています。

そのためにも、LTVの考え方の背景を知っておくことが重要です。

さらに近年の技術の進化によってLTVの指標のあり方が大きく変わり、LTVがますます重要視されるようになりました。

顧客との関係構築が大切になることから、企業活動だけではなく、個人事業主の方にも経営者の方にも大切な考え方です。

それではLTVについて深めていきましょう。

なぜLTVが大切なのか?

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まずLTVの考え方が注目されるようになった背景について説明していきます。LTVが重要視されるようになったのは、市場の飽和にあります。

成長市場であれば、新規の顧客がどんどん集まるために売り上げを伸ばすことができます。企業は魅力的な商品さえ作れば、プロモーション(宣伝)を通じて販売につなげられるのです。

一方で、すでに商品が飽和している成熟市場では、新規需要を喚起することは簡単ではありません。

そのため、新規顧客だけではなく、顧客の定着化を図ることが求められるのです。

このような背景から、LTVはマーケティング戦略を進める上で重要な指標になっていると考えています。

LTVはどのような背景から生まれたのか?

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新規顧客から古き顧客を大事にする考えに切り替わった

LTVは、ダイレクトマーケティングの世界から生まれた考え方で、データベースに基づく顧客価値の定量的なモデル化が進展したことで1990年代から注目されました。

ここで、ダイレクトマーケティングとは、見込み客や購入者に対して個別のプロモーションを通して商品やサービスを販売することです。

プロモーションの結果がレスポンス(反応)という観点から測定できること、顧客ファイルリストを利用することから一般的なマーケティングとは異なります。

先ほども書きましたように、成長市場であれば「売上‐利益」の発想から、1人1人の顧客視点で長期的な価値と収益を考える、という本質的なマーケティング発想の転換を意味するものでした。

1つの製品を販売する場合、どうしても新規顧客の開拓にマーケティングコストの大半を費やすことになりがちでした。

しかし、LTVの考え方によって、「一見客だけではなく馴染みのある顧客を大切にせよ」という古くからあった商売の経験則が科学的に証明されるようになったのです。

つまり、一度顧客になった人との関係を保つ方が、企業にとってははるかに効率的で、長期的に収益につながりやすいことが明らかになりました。

実は、パレートの法則(20:80の法則)として知られる、多くのビジネスで2割の顧客が8割の収益をもたらしているという分析も、価値(LTV)の高い顧客を特定し、顧客維持や関係強化の取り組みで重要だと考えています。

従来のマーケティングだけでは売れなくなった

従来のマーケティングでは大量の広告やCMを流すだけでものが売れる時代でした。興味・関心、趣味・嗜好は人それぞれです。そのため、個別に合わせた「One to Oneマーケティング」が注目されるようになりました。

このような時代の流れとともに、適切なタイミングと伝達方法で顧客とコミュニケーションを取ることが求められるようになったのです。

LTV向上のカギは顧客のファン化

LTVを高めるには、顧客の企業への愛着度が欠かせません。企業は顧客に対し、他では入手出来ない絶対的な付加価値を提供し、自社や商品・サービスのファンになってもらう必要があります。

ファン化した顧客は、企業に対して一定の顧客からの許諾が得られるようになります。一度顧客から得られると、顧客自らが恒常的にその企業に情報を求めるため、その後の継続的な購買行動も見込めます。

LTVを通じて既存顧客維持の重要性や、その分析までも見えるかにつながるとも言えるでしょう。

新規コストと既存コストの維持ではどのくらい違うの?

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ここまで長期的な顧客を獲得する方が企業にとって負担が少なくなると解説してきました。では、どのくらいの差があるのか見ていきましょう。

一般的に、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客との関係維持によって同じ収益額を得る場合に比べて5倍かかる「1:5の法則」とも言われています。

そのため、一度関係を築いた顧客と良好な関係性を維持しロイヤルティを高めることができれば、同じ顧客から繰り返し商品やサービスを購入されることが期待されると考えられたのです。

このようなマーケティング手法を「リテンション・マーケティング」と呼ばれます。

リテンション・マーケティングを行うにあたり、「次の商品やサービスの購入を促す」ために、以下のような施策に力を入れています。

  • アフターサービスの充実
  • 既存顧客専用の特典やキャンペーンの準備による差別化
  • 商品やサービスに関する継続的な情報発信
  • 対面(営業)と非対面(マーケティング)の連携の強化を通じた顧客満足度の向上

LTVの計算方法

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具体的なLTVの値は、一般的に次のように計算します。

LTV=購買単価×購買頻度×契約継続期間

ここでLTVの計算方法について簡単に説明します。

平均購買単価10万円、購買頻度1回/月(12回/月)、継続期間3年の場合、LTVは次のようになります。

10(万円)×1(回/月)×3(年)×12(か月)=360万円

このような計算式から、LTVを高めるためには以下のようなことが考えられます。

  • 購買単価を上げる
  • 購買頻度を高める
  • 契約期間を長期化する

この記事ではこのような要因があることだけ押さえていただければと思います。

実際には購買単価、購買頻度、契約継続期間を上げるための施策が必要となりますが、他の記事にて紹介する予定です。

LTVは「新規顧客獲得計画」や「顧客別収益の分析」にも活用できる

ここで、LTVを算出することで、新規顧客獲得の計画やコストの活用にも用いることができます。

例えば、1社と新たに契約すればLTV上は1社分の売上が加算されますが、新規顧客獲得コストが1社分のLTV加算額を上回ってしまうと、損益上はマイナスになります。

これまでの既存顧客維持のコストがLTV加算額を超えた場合でも同じです。

つまり、LTVが新規顧客獲得コストと既存顧客維持コストの合計金額を上回るようにすることが重要です。

そのため、以下のようなバランスになるように配慮する必要があります。

LTV(購買単価×購買頻度×契約期間)>新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト

この条件を満たさなければ、以下のどちらかの施策が必要です。

  • 購買単価、購買頻度、契約期間のいずれかを向上させてLTV自体を高める
  • 顧客獲得・維持のために支出するコストを見直す

サブスクリプションモデルによりLTVの価値観が変わる

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ここで、消費者の購買に対する価値観は大きく変わりました。特に商品を所有する「モノ消費」から体験に価値を払う「コト消費」への意識に変わってきています。

実際にコト消費に対応したビジネスモデルやサービスが数多く生まれています。

そのようなことから、便利に量デキルことに重点をおき、商品やサービスを利用する権利にお金を払うサブスクリプション型のビジネスが成長しているのです。

サブスクリプションの市場価値は2019年時点で1.1兆円まで拡大し、2023年には26%増の1.5兆円まで成長する見通しがあるくらいです。

https://ictr.co.jp/report/20200204.html

このサブスクリプション型ビジネスの台頭も、LTV重視のマーケティング施策への注目を加速させていると考えています。

このビジネスを成功させるためには、顧客のサービス継続率を伸ばしていくことがカギになります。さらに顧客満足度を上げて単価の高い商品およびサービス提供につなげていくことが重要です。

この点から、サブスクリプション型ビジネスにおいてはLTVはその成果を図るために欠かせない指標だと捉えています。

近年のLTVマーケティングの進化とは?

ここで、近年ではマーケティング環境が大きく変わっています。どのようなところが変わったのか見ていきましょう。

1.IT技術の進化

ソーシャルテクノロジーの発達とデータベース技術の進化は1人1人の顧客と関係を持つコストを大幅に低下させ、企業と生活者が直接つながりやすくなりました。

そのようなことから、商品購買以前の潜在顧客から関係構築を図り、関係を起点にした価値提案でLTVを高める取り組みが拡がりつつあります。

2.メディア進化

生活者主導のソーシャルメディアを通じて、顧客タイミングを起点とした新たなマーケティングを生み出しています。

ターゲットを絞るだけでなく、顧客のネットワークを通じて「連鎖消費」を拡大するなど、製品を超え、顧客の中にある新たな市場機会を捉えることにマーケティング活動の焦点がシフトしつつあると考えています。

3.生活者の主導権拡大

生活者のネットワーク化によりクチコミ情報発信の影響力が増大し、ブランドの評判や売上にもインパクトをもたらすようになりました。

このようなことから顧客からのクチコミ・紹介などの顧客を通じた新たな顧客の創造、また「企業活動のリソースとしての顧客価値」をLTVの概念に取り込む戦略が重要になってきていると考えています。

4.デジタルマーケティングの革新

オンライン・オフライン接点のデジタル化の進展によって、すべての顧客接点でのつながり構築の機会が拡がっています。

そのようなことから、ダイレクトマーケティングに閉じた概念ではなく、デジタル時代の顧客中心のマーケティングにおける共通言語になりつつあります。

企業から見た顧客の金銭的価値の測定にとどまらず、顧客関係を起点にいかに顧客と共に価値を創造するのか(LTVを生み出すのか)という視点で捉えていくのかが大切になると考えています。

さいごに

ここまでLTV(ライフタイムバリュー;顧客生涯価値)を指標にする重要性について紹介してきました。

市場の成熟化が進んだことから、新規顧客よりも長期的な顧客を見据えたマーケティング戦略が重要視されるようになっています。

広告やテレビではなかなか伝わらなくなったことから、消費者のニーズに寄り添った「モノ」から「コト」に変化していることを伝えました。「コト」の体験価値を伝える必要があります。

LTVは以下の計算式で算出されると伝えました。

LTV=購買単価×購買頻度×契約継続期間

このような計算式で成り立っていることから、まず顧客のサービス継続率を伸ばしていくことが大切です。

特にサブスクリプション型ビジネスに取り組んでいる方、これから取り組もうとされている方にとっては、LTVはその成果を測るために欠かせない指標だと考えています。

あなたの企業でも利益を伸ばすためにも、LTVを高めて収益の最大化を目指していきませんか。

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最終更新日: 2022/12/12 公開日: 2021/10/13